ニュース
【新型コロナ】リモートワークで仕事と家庭をどう区別する? 「ワーク・ライフ・バランス」を上手に管理
2021年08月30日

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を上手に管理できている人は、仕事と生活の区別をする能力が優れているという研究が発表された。仕事と生活が対立しないように「バッファ(緩衝)」を設けることが対策になるという。
新型コロナの拡大を防ぐために、世界中でリモートワークやテレワークが多く行われるようになった。しかし、インターネットを使ったテレワークでは、仕事と生活の境界があいまいになりやすいので、とくに注意が必要だという。
新型コロナの拡大を防ぐために、世界中でリモートワークやテレワークが多く行われるようになった。しかし、インターネットを使ったテレワークでは、仕事と生活の境界があいまいになりやすいので、とくに注意が必要だという。
コロナ禍でリモートワークが増加
新型コロナの拡大を防ぐために、世界中でリモートワークやテレワークが多く行われるようになった。
スマホやパソコンで、いつでもどこでも仕事のメールが送られてくるので、勤務時間外にも仕事をしなければならず、休息をとりにくくなり、かえってストレスが増えたという人も多いのではないだろうか。
米国のイリノイ大学の研究グループは、職業性ストレスと労働者の幸福について研究している。今回の研究で、仕事と生活の境界をはっきりと設けられる人は、仕事によるストレスと生活でのメンタルヘルスが悪化する負の循環におちいることが少ないことを発見した。
「スマホやタブレットなどの情報通信技術が進歩し、多くの労働者はいつでもどこでも仕事ができるようになり、仕事と生活の境界があいまいになりやすくなっています。しかし、労働者が仕事と生活の境界をきちんと管理できるようにならないと、ストレス管理とメンタルヘルスが犠牲になってしまうおそれがあります」と、イリノイ大学心理学部で労使関係の研究をしているヤングアー パーク教授は言う。
ときには思い切って通信機器の電源を切ることも必要
仕事と生活の境界を明確にするため、ときには思い切って通信機器の電源を切り、メリハリをつける覚悟も必要だとしている。「そうした機器が常にオンの状態で利用可能であると、仕事のストレスの増加というマイナス面をともなう場合もあると意識するべきです」としている。
「多くの人はスマホやパソコンがないと仕事ができなくなっています。こうしたテクノロジーは確かに便利なのですが、時間外の労働をしなくてはならなかったり、家庭や私生活といった領域に仕事が侵入してくるのは不健康です」と、パーク教授は指摘する。
研究グループは、米国の公立学校でフルタイムで働く500人以上の教師を5週間連続で調査し、テクノロジーを介した仕事がどれだけ生活の領域に侵入しているかを調査した。
その結果、テクノロジーを介した24時間体制の仕事の依頼は、労働者にとって大きなストレスになる可能性があることが分かった。とくに教師では、担当しているクラスで問題が持ち上がるとすぐに連絡が入ってきて、仕事と生活の境界を分けるのが難しくなるケースがみられたという。
自分の健康を守ることが生産性の向上につながる

多くの人がワーク・ライフ・バランスの実現に苦労している
米国のレンセラー工科大学は、コロナ禍で職場と家庭を両立し、より良く働き続けるために、すぐに実行できる実践法を提案している。
「新型コロナのパンデミックが発生してから2年近くが経ったいま、数百万人の労働者が効率的なワーク・ライフ・バランスを実現するのに苦労しています」と、レンセラー工科大学ポリテクニック研究所のティモシー ゴールデン教授は言う。
「多くの人が在宅勤務でも、仕事の効率と生産性を維持しながら、家庭での生活も充実させたいと考えています。仕事と家庭の境界を上手に管理することは重要です」としている。
仕事と家庭の対立を避けるための方法
ゴールデン教授によると、リモートワーカーには2つのタイプがある。「ワークライフ・セグメンター」は、日々の生活のなかで仕事とプライベートを厳格に分けようとする人。一方、「ワークライフ・インテグレーター」は、仕事とプライベートを厳格に分けず、1日の中で仕事とプライベートとの切り替えを柔軟に行おうとする人だ。
労働者が仕事と家庭生活の境界をうまく設定して管理するために、「身体」「行動」「時間」「コミュニケーション」という4つの領域をコントロールすることが大切だという。
そのために、「仕事を毎日一定の時間に開始し、終了する時間も決めておく」「仕事をする場所と生活空間をきっちり分ける」「仕事中には家事はなるべくやらない」「仕事時間に家事をする必要が出たときの家族とのやりとりを決めておく」「仕事が終わったら家族や仲間と会話をするようにする」といったメリハリをつけることも必要となる。
日常の業務で予測できないことが起こったり、仕事や生活の境界に侵入してきた人と衝突しそうになることもある。対立を回避しバランスをとるためのコミュニケーションはとくに重要になるという。
リモートワークと生活を両立する方法
レンセラー工科大学ポリテクニック研究所が公開しているビデオ
Control over work-life boundaries creates crucial buffer to manage after-hours work stress(イリノイ大学 2020年6月25日)レンセラー工科大学ポリテクニック研究所が公開しているビデオ
When work is wanted after hours: Testing weekly stress of information communication technology demands using boundary theory(Journal of Organizational Behavior 2020年5月19日)
How Can Remote Workers Best Manage Work-Home Conflict?(レンセラー工科大学 2021年4月5日)
Telework and the Navigation of Work-Home Boundaries(Organizational Dynamics 2021年1月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.

「特定保健指導」に関するニュース
- 2023年02月27日
- 毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
- 2023年02月27日
- 「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
- 2023年02月24日
- 「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
- 2023年02月20日
- コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
- 2023年02月20日
- 【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
- 2023年02月20日
- 「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
- 2023年02月20日
- 「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
- 2023年02月14日
- 新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
- 2023年02月14日
- 【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
- 2023年02月13日
- 【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険