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【新型コロナ】コロナ禍でとくに女性の自殺者が増加 自殺の原因は何か? 心理社会的な支援や福祉サービスが必要

 新型コロナの流行が始まって以来、それまで減少傾向にあった日本の自殺者数は増加に転じた。

 宮崎大学などの研究グループは、新型コロナが流行した2020年1月~2021年5月と、流行以前の日本での自殺の理由の変化について分析を行った。

 その結果、自殺の理由は男女で大きく異なり、男性では主に「仕事のストレス」や「孤独感」、女性では「家庭・健康・勤務問題」を動機とした自殺が増加したことが明らかになった。

自殺の理由は男女で大きく異なる

 研究グループは、警察庁が集計し厚生労働省が公開している自殺統計原票にもとづいた統計データを用いて、新型コロナの流行が日本で起きた2020年1月~2021年5月と、流行以前の日本での自殺の理由の変化について分析した。例年に比べて統計学的に自殺者数が増えている場合を「超過死亡」と判定した。

 その結果、自殺統計原票にもとづく、自殺の理由に関する7つの大項目(家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他)のすべてで、超過死亡のある月がみられた。

 理由が判明した自殺者数の時系列推移をみると、超過死亡がみられた月のうち、2020年10月は男女全体で25.8%増、男性では6.1%増、女性では60.8%増となり、とくに女性の自殺者の増加がみられた。

 小項目(52項目)の分析では、自殺の理由は男女で大きく異なり、男性では主に仕事のストレスや孤独感、女性では家庭・健康・勤務問題を動機とした自殺が増加したことが明らかになった。

 女性では、「家庭問題」で親子関係の不和(4.2~4.5%)、夫婦関係の不和(4.3~39.1%)、その他の家族関係の不和(6.2~7.1%)、子育ての悩み(22.2~40.0%)、介護・看病疲れ(25%)、「健康問題」で身体の病気(15.4%~20.4%)、うつ病(15.1%~34.2%)、統合失調症(26.1%)、アルコール依存症(45.5%)、その他の精神疾患(18.6%)、「学校問題」では学友とのトラブル(60%)、「その他」では後追い(12.5%)などで主に超過死亡がみられた。

出典:宮崎大学、2022年

コロナ禍で女性では5ヵ月連続の超過死亡 何が原因か?

 さらに研究グループは、厚生労働省が公表している自殺の原因・動機に関する月次データを用いて分析した。このデータは、自殺統計原票にもとづいており、遺書などから明らかに推定できる原因・動機がある場合、自殺者1人につき3つまでの理由を警察庁が計上している。

 期間中の自殺者総数は2万9,938人であり、うち理由が判明したのは2万1,027人(男性64.7%)だった。理由が判明した自殺者を対象にした分析では、7つの大項目(家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他)のすべてで、超過死亡のある月が認められた。もっとも高い超過死亡割合を認めた月は、2020年10月の25.8%(男性6.1%、女性60.8%)だった。

 男性では、学校問題では超過死亡は観察されなかったが、女性では、家庭問題、健康問題、勤務問題、その他の問題で、それぞれ5ヵ月連続の超過死亡がみられた。

 新型コロナの流行下で、男女ともに経済に関連した理由による自殺の超過死亡がみられる。「被雇用者支援プログラムや産業保健は、在宅勤務者のために、電話やオンラインなどの手段も用いながら、心理社会的な支援を提供する必要が示唆されました」と、研究グループでは述べている。

 また、研究によって、新型コロナ流行下の自殺の理由は、性別で異なることが明らかになった。「性別ごとに適切な自殺予防対策および心理的ストレス軽減につながる社会的対応がとられることが求められます。たとえば、男性に対しては、男性に特化した自殺防止キャンペーンを行い、不安など個人的な感情を共有することへの抵抗感を軽減する取り組みや、メンタルヘルスや精神疾患に対するスティグマを払拭することへの取り組みが必要です」としている。

 一方、学校閉鎖、在宅勤務、医療・福祉機関へのアクセスが制限されたことを受けての家庭内での介護役割の増大により、女性は家族のために時間を費やすようになったと考えられる。このことが、親子関係の不和、その他の家庭不和、育児問題、介護・看病疲れなどに起因する超過死亡につながった可能性がある。

出典:宮崎大学、2022年

心理社会的な支援や福祉サービスを提供する必要が

 「新型コロナの流行後から、自殺者数の増加がみられます。とくに女性での増加に対して、どのような理由が増えているかを明らかにすることで、性別ごとに適切な自殺予防策および政策を講じるための新たなデータを提示できるようになります」と、研究グループでは述べている。

 「医療従事者は、パンデミック発生後の生活の変化について尋ね、女性に心理社会的な支援や福祉サービスを提供することが求められます。さらに、自殺のリスクを評価し、必要であれば精神科への速やかな紹介が求められます」としている。

 後追い自殺についても、男女ともに1つの月で超過死亡がみられた(男性2020年4月、女性2020年9月)。「後追い自殺はメディアによる報道への配慮によって防ぐことができるが、オンラインニュースやソーシャルメディアも、自殺関連情報についての報道には配慮が求められる」としている。

 研究は、宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野の香田将英氏、宮崎大学医学部看護学科統合臨床看護科学講座精神看護学領域の原田奈穂子氏、慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の野村周平氏、千葉大学予防医学センター環境健康学分野の江口哲史氏、宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野の石田康氏によるもの。研究成果は、「JAMA Network Open」にオンライン掲載された。

宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野
Reasons for Suicide during the COVID-19 Pandemic in Japan(JAMA Network Open 2022年1月31日)
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