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【新型コロナ】ワクチンの4回目接種は効果が高い ワクチンは最初の年だけで2000万人の命を救った
2022年07月19日

新型コロナワクチンは、新型コロナの発症を予防する高い効果があり、また、感染や重症化を予防する効果も確認されている。
接種から時間が経過するととともに、感染や発症の予防効果は徐々に低下するが、重症化予防の効果は比較的高く保たれると考えられている。
185の国と地域のデータにもとづく世界規模の研究では、新型コロナのワクチンが導入された最初の年(2020年12月~2021年12月)だけでも、新型コロナのワクチン接種は、世界の1,980万人の死亡を防いだことが示された。
もしもワクチン接種が行われなかったら、新型コロナによる世界の死亡数は3,140万人に増えただろうと推定している。
世界の人口の3分の2が1回以上のワクチン接種を受けた
「現在使われている新型コロナワクチンはすべて、発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されています」と、英国のインペリアル カレッジ ロンドン公衆衛生学部のオリバー ワトソン氏は言う。 「最初の新型コロナワクチンが2020年12月に投与されて以来、2022年6月の時点で、世界の人口のほぼ3分の2が、1回以上のワクチン接種を受けました」。 「今後は低所得の途上国でもワクチン接種を推進し、感染症に対してもっとも脆弱な人々を新型コロナから守ることが課題となっています。そのために、ワクチンを提供するだけではなく、生活や産業の基盤の整備や、ワクチンに対する誤った理解とも戦い、ワクチンの需要を改善するために協調的な取り組みをすることが必要です」としている。 世界保健機関(WHO)は、すべての国で2021年末までに、人口の40%以上に2回以上の予防接種を行う目標を打ちたてたが、実行できたのは高・中所得国が多く、アフリカや東地中海などの途上国では接種が十分に行われていない。 もしも目標が達成されていれば、世界でさらに59万9,300人の死亡を防げたはずだと試算している。新型コロナワクチンの4回目接種は効果が高い
ワクチンの追加接種は重症化リスクの高い人に効果がある

ワクチンはオミクロン変異体に対しても効果がある
新型コロナウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要となるスパイクタンパク質の一部が変化することで、ウイルスの感染性や病原性、ワクチンの有効性などに影響を与えることが懸念されている。 オミクロン株の亜種である「BA.5」の感染が世界的に増えている。「BA.5」はこれまで主流だった「BA.2」よりも感染力が強いという報告も公表された。 「イスラエルなどでも、オミクロン変異体に対する既存のワクチンの有効性について、とくに追加接種に関して多くの議論がありました。イスラエルは、60歳以上の人々のためにワクチンの4回目接種を承認した最初の国です」と、同大学公衆衛生学部のキタム ムフセン教授は言う。 「一般的にウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、ウイルスの小さな変異により、ワクチンの効果がなくなるというわけではありません。しかし、それぞれの変異株に対するワクチンの有効性がどのくらいあるのかについて、さらに確認が必要です」。 「ワクチンの4回目接種を受けたグループの死亡リスクは、3回接種のみのグループに比べ、72%も低かったことが明らかになったのは重要です。ワクチンの4回目の投与により中和抗体のレベルが上昇し、オミクロン変異体に対する交差防御がもたらされたと考えられます」。 「結果として、高齢者や基礎疾患のある人など、感染リスクの高い集団に4回目の接種を行うという決定は、多くの人命を救った賢明な選択となりました」としている。Global impact of the first year of COVID-19 vaccination: a mathematical modelling study (Lancet Infectious Diseases 2022年6月23日)
Coronavirus (COVID-19) Vaccinations - Our World in Data
The fourth COVID-19 vaccine reduces the risk of death by 72% amongst the elderly (テルアビブ大学 2022年6月10日)
Association of receipt of the fourth bnt162b2 dose with omicron infection and covid-19 hospitalizations among residents of long-term care facilities (JAMA 2022年6月23日)
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