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【新型コロナ】マスク着用によりインフルエンザも減った 人の多い所を避けることにも効果が

 インフルエンザ検出率の低さは、感染を防ぐため、マスクを直用した人が多いことと関連しており、人混みを避けたこととも関連していることが、東北大学加齢医学研究所の調査で明らかになった。コロナ対策の規制政策の厳格さとも関連がみられるという。

 都内で最初の新型コロナの感染者が診断されたのは2020年1月。2020年半ばになり、通常ならインフルエンザが流行している時期だったが、日本を含む感染対策の水準が高いほとんどの国で、インフルエンザはパンデミック前に比べて激減していた。

 研究グループは、2020年終盤~2021年序盤、2021年中盤、2021年終盤~2022年序盤の3シーズンについて、大規模なオープンデータを用いて、感染症対策とインフルエンザ流行の関係を解析した。

新型コロナとインフルエンザを予防

 この冬は、新型コロナが夏以上に拡大し、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されている。

 インフルエンザのシーズンは、2月現在でまだ終わっていない。インフルエンザ報告数は増加傾向を示しており、油断ができない状態が続いている。

 新型コロナもインフルエンザも、飛沫感染や接触感染で広がることは共通している。予防の方法も共通することが多い。

 いったん感染が起きると、外来(診療・検査機関)などにもかかりづらくなり、社会全体として大きな流行になるおそれがある。

 新型コロナは、都内では2020年1月に最初の感染者が診断された。2020年半ばになり、通常ならインフルエンザが流行している時期だったが、感染対策の水準が高いほとんどの国で、インフルエンザはパンデミック前に比べて激減していた。

マスク着用や3密対策はインフルエンザの予防にも有用

 インフルエンザ検出率の低さは、マスクの直用と関連しており、人混みを避けることとも関連していることが、東北大学加齢医学研究所の調査で明らかになった。コロナ対策の規制政策の厳格さとも関連がみられるという。

 研究グループは、2020年終盤~2021年序盤、2021年中盤、2021年終盤~2022年序盤の3シーズンについて、大規模なオープンデータを用いて,感染症対策とインフルエンザ流行の関係を解析した。

 その結果、インフルエンザ検出率の低さは、3 シーズンでマスクの使用率の高さと関連しており、2シーズンで人的接触程度の低さと関連しており、1シーズンで規制政策の厳格指数の高さと弱い関連があることが明らかになった。

 新型コロナとインフルエンザの流行を抑えるために、▼必要な場面での適切なマスクの着用、▼3密(密閉空間・密集場所・密接場面)・換気への対策を引き続き継続することが呼びかけられたが、この対策は効果があったことが示された。

 さらに、感染と重症化を予防するための決め手となるのは、やはり予防ワクチンの接種を受けることだ。

 研究は、東北大学加齢医学研究所・認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門の竹内光准教授・川島隆太教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Viruses」にオンライン掲載された。

3つの密を避けましょう
新型コロナ対策で首相官邸が配布したポスター

インフルエンザの予防にNPIが関係

 今回の知見により、新型コロナの感染症対策は、インフルエンザの流行にも影響していることが示唆された。

 新型コロナに対する、ソーシャルディスタンス、ロックダウン、マスク直用などの「非薬理学的介入(NPI)」に効果があったと考えられるという。

 また、新型コロナが蔓延していない地域でも、インフルエンザは消失していたことから、こうしたインフルエンザ消失は、ウイルス干渉(あるウイルスが流行しているときに、他のウイルスの流行が抑制されている現象)では説明できないことが、指摘されている。

 一方地域によっては、2020年に比較的早くインフルエンザが再流行したことが指摘されていた。米国では2021年冬にインフルエンザが再流行し、日本では2021年冬にインフルエンザが再流行していないなど、国による違いもある。

 このようなインフルエンザの再流行は、NPIが大幅に緩和された後に発生しており、NPI緩和がインフルエンザ再流行の背景にあるという指摘もある。

 研究グループは、こうしたNPIの地域差とインフルエンザの世界的な消滅・再流行の関連を明らかにするため、WHOのグローバル インフルエンザ監視および対応システムおよび公開されているNPI情報を用いて、インフルエンザの消失・再流行に関わる要因の特定に向け検討した。

マスク着用や人混みを避けることは引き続き必要?

 「インフルエンザによって毎年世界中で多数の死亡者が出ていたこと、また新型インフルエンザの流行が懸念されていることから、どのような要因が世界からインフルエンザが消失し再興したことに関係していたかを明らかにすることが必要です」と、研究グループでは述べている。

 研究成果は、パンデミック下のインフルエンザの消失にNPI、とくにマスク直用や、人的接触の低下が関係していたことを示すもので、新型コロナのパンデミック下でインフルエンザが消えた背景にNPIがあることを実証データにもとづき示唆したもので重要としている。

 研究グループは、新型コロナのパンデミック下の国別のインフルエンザサーベイランスデータを用いて、各国のベースラインとの比較で、インフルエンザの検出率が各国のマスク着用率、人的接触の程度、複合規制政策の厳しさの程度とどう関連しているかを、北半球と南半球で流行の多い4シーズン(2020、2021年の26週目、52週目からの12週間)で解析した。

 その結果、2020年半ばには、分析したほとんどの国で感染対策の水準が高く、インフルエンザはパンデミック前に比べほとんどの国で激減していた。

 残りの3シーズンの解析で、インフルエンザ検出率の低さは3シーズンでマスクの使用率の高さと統計的に有意に関連があり、2シーズンで、人的接触の程度の低さと関連があり、1シーズンで規制政策の厳格指数の高さと弱い関連があることが示された。

2020年半ばには、研究グループが分析したほとんどの国で感染対策の水準が高く、インフルエンザはパンデミック前に比べほとんどの国で激減していた

出典:東北大学加齢医学研究所、2023年

東北大学加齢医学研究所
Disappearance and Re-Emergence of Influenza during the COVID-19 Pandemic: Association with Infection Control Measures (Viruses 2023年1月13日)
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[Terahata]

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