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【新型コロナ】妊娠中の女性の不安が長期化するコロナ禍で深刻に 周囲からの妊婦へのサポートの支援が必要
2021年07月30日
東京大学は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下の、妊娠中の女性の不安の内容とその変化について明らかにした。
妊婦は、流行初期は感染についての不安を抱えていたが、自粛期間が長期化するにつれて、気分障害、周囲からのサポートについての不安も増えていった。
長期化するパンデミックでは、妊婦への支援の内容を変化させる必要があり、妊婦の周囲にいる人々に向けても、コミュニケーションの重要性を認知させる必要があることが示された。
妊婦は、流行初期は感染についての不安を抱えていたが、自粛期間が長期化するにつれて、気分障害、周囲からのサポートについての不安も増えていった。
長期化するパンデミックでは、妊婦への支援の内容を変化させる必要があり、妊婦の周囲にいる人々に向けても、コミュニケーションの重要性を認知させる必要があることが示された。
自粛期間の長期化で「気分障害」「周囲からのサポート」の不安が増加
妊娠中の女性のメンタルヘルスの悪化は、胎児の発育や産後の育児に負の影響を与えることから、予防と支援の重要性が指摘されている。
一方で、コロナ禍は妊婦に対しても不安やストレスをもたらしていると考えられるものの、妊婦がどの時期にどのような内容の不安やストレスを抱えていたのかについてはよく分かっていない。
そこで研究グループは、2020年1月1日から第1回緊急事態宣言の解除が宣言された5月25日(日)に、日本最大のQ&AサイトであるYahoo!知恵袋に投稿された妊婦の質問1,000件の内容を週単位で分析し、妊婦の不安・ストレスの内容の移り変わりを国内の動きと照合した。
その結果、妊婦は流行初期に、感染についての不安を抱えていた一方で、自粛期間が長期化するにつれて、気分障害、周囲からのサポートについての不安が増えていったことが明らかになった。
パンデミックが長期化し、感染のフェーズが変化するなかで、妊婦への支援内容も変化させていく必要があることが示唆された。
研究は、東京大学大学院医学系研究科の奥原剛准教授、調律子氏らの研究グループによるもの。研究成果は、医学誌「JMIR Pediatrics and Parenting」に掲載された。
妊婦にとって「人間関係のストレス」も深刻
研究グループは、Yahoo!知恵袋に投稿されたすべての質問を対象に、「コロナ 妊婦」「コロナ 妊娠」「コロナ 出産」「コロナ 分娩」「コロナ お産」をキーワードとして検索した。
妊婦自身が投稿している質問のみを解析対象とし、質問文のテキストからカテゴリーと下位コードを抽出した。各カテゴリーとコードの質問数を週単位で集計し、国内の動きと照合した。
検索キーワードでヒットした4,200件の質問のうち2,040件の質問が妊婦による投稿であり、重複やパンデミックにおける不安とは無関係なものを除外した1,000件の質問を分析対象とした。
その結果、感染流行の第1波と第2波では、「自分自身の感染への不安」「家族や友人の感染への不安」「自分自身の外出への不安」といった感染に対する不安が第1ピークと第2ピークを形成していた。
その後、感染に対する不安についての質問は減少し、「周囲からのサポートについての不安」「気分障害についての不安」が増加して第3のピークを形成した。
「人間関係のストレス」は全期間で頻出していた。また、「家族や友人の感染への不安」「人間関係のストレス」の多くは、「夫が飲み会に行く」など感染リスクをともなう望ましくない行動によるものだった。
コロナ禍で妊婦の不安やストレスはどう変化していったか
週単位での質問カテゴリーの移り変わりと国内外の妊婦に関連するイベントや報道を調査した。
感染流行の第1波と第2波で頻出した感染への不安は、自粛期間延長にともない減少し、代わりに周囲からのサポートや気分障害についての不安が増加した。
感染流行の第1波と第2波で頻出した感染への不安は、自粛期間延長にともない減少し、代わりに周囲からのサポートや気分障害についての不安が増加した。
出典:東京大学大学院医学系研究科・医学部、2021年
妊婦の周囲にいる人々に向けてのコミュニケーションも重要
パンデミックでは、公衆衛生の専門家は弱い立場に置かれた人々へ情報を伝える必要がある。なかでも妊婦は、流行初期には妊婦や胎児への影響が不明なこと、治療が制限されること、繰り返し病院に行く必要があることなどから弱い立場におかれている。
妊娠中の強い不安やストレスは母親や児の健康に影響を与えることから、妊婦の心理的なケアも必要となる。新型コロナのパンデミックでは、うつや不安の症状が強い妊婦が30%にも上るという報告もある。
「感染症流行の各段階で、人々がどのようなことを不安に思い、期待しているのかを知ることが、有効なコミュニケーションと支援を行ううえで求められます」と、研究グループでは述べている。
新型コロナの流行期間に、妊婦は、感染への不安のほかにも、出産や育児への準備不足やサポートしてくれる人々との関係性など、特有の不安やストレスを抱えていることが報告されている。今回の調査でも、パンデミックが長期化するにつれて、妊婦の気分障害や、周囲からのサポートの不足についての不安やストレスの表出が増えていった。
「人間関係のストレスは全期間で表出されており、妊婦の周囲の人々に対するコミュニケーションも求められます。パンデミックが長期化するにつれて、妊婦の不安の内容は変化するため、必要な支援の内容も変化させる必要があります。また、妊婦の周囲にいる人々に向けてのコミュニケーションの重要性も示唆されました」としている。
東京大学大学院医学系研究科・医学部Changes in Anxiety and Stress Among Pregnant Women During the COVID-19 Pandemic: Content Analysis of a Japanese Social Questionand-Answer Website(JMIR Pediatrics and Parenting 2021年7月15日)
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