ニュース
【新型コロナ】がん検診・健診の受診者数が大幅減少 健診・保健指導の集団検診は密を避けるため延期
2021年08月18日
新型コロナの流行の影響を受け、がん検診と健診の受診者数が大幅に減少していたことが分かった。
2020年度のがん住民検診の受診者数は、宮城県対がん協会の調査によると、胃がんで16.3%、乳がんで9.8%、それぞれ減少した。
健診受診者数にも影響が出ており、特定健診の受診者数は11.4%減少した。
2020年度のがん住民検診の受診者数は、宮城県対がん協会の調査によると、胃がんで16.3%、乳がんで9.8%、それぞれ減少した。
健診受診者数にも影響が出ており、特定健診の受診者数は11.4%減少した。
コロナ禍でがん検診と健診の受診者数が減少
新型コロナの流行の影響を受け、2020年4~5月のがん検診と健診の受診者数が、前年同月と比べ、大幅に減少していたことが分かった。
調査は、厚労省の「がん検診のあり方に関する検討会」で、国立がん研究センターの高橋宏和氏が明らかにしたもの。がん検診受診者数については国立がん研究センターが、受療行動については国立がん研究センターや大阪大学などが調査を担当した。
検討会では、聖隷福祉事業団と宮城県対がん協会のがん種ごとのがん検診受診者数の推移、日本総合検診医学会と全国労働衛生団体連合会の健診受診者数の推移が発表された。
その結果、がん検診・健診ともに、はじめての緊急事態宣言が発出されていた20年4月~5月の受診者数が大幅に減少していた。とくに5月は、いずれの調査でも前年同月比で5割以下となっていた。6月以降は前年同月とおおよそ同程度に回復した。
がん検診については、宮城県対がん協会の調査によると、2019年度に比べ2020年度は、住民検診は83.7%~96.7%、職域検診では96.4%~103.7%となり、住民検診での受診者数の減少幅が大きかった。
住民検診では、胃がんで16.3%、大腸がんで3.3%、乳がんで9.8%、子宮頸がんで8.0%、それぞれ減少した。
がん検診受診者数の推移(宮城県対がん協会)
がん検診と健診の受診者数は2020年4~5月に大幅に減少した
がん検診と健診の受診者数は2020年4~5月に大幅に減少した
出典:第33回がん検診のあり方に関する検討会(厚生労働省 2021年)
特定健診は11.4%減少 密を避けるため集団検診は延期
健診受診者数にも影響が出ており、日本総合検診医学会と全国労働衛生団体連合会の調査によると、2020年度は事業者健診で3.5%、特定健診で11.4%、人間ドックで7.8%、学校健診で13.8%、それぞれ減少した。
厚労省は、緊急事態宣言の期間には、健診・保健指導などの集団検診の実施を、密を避けるため原則として延期することを求めている。健診・保健指導を受診できなくなった人には、別に受診の機会を設けることを求めているが、実態は把握されていない。
がん検診では、とくに胃や大腸の内視鏡検査は、都市部に受けに行かないと受けられず、そうした地域で感染が拡大している場合も多い。受診に影響が出て、がんの発見が遅れる患者が増えるのではないかと懸念されている。
「がん検診の受診率の低下により、精密検査が必要な人の受診につながっていないおそれもある」と専門家は指摘している。
がん検診受診者数の推移(宮城県対がん協会)
がん検診と健診の受診者数は2020年4~5月に大幅に減少した
がん検診と健診の受診者数は2020年4~5月に大幅に減少した
出典:第33回がん検診のあり方に関する検討会(厚生労働省 2021年)
子宮頸がんの検診受診率が低迷
クーポン券の利用率を高めてがん検診受診率を向上
このほか、がん検診の総合支援事業として、がん予防重点健康教育などが焦点となり、とくに受診率の低い子宮頸がん検診の受診促進について意見が交わされた。
子宮頸がんの検診受診率は、20~69歳では43.7%だが、20~25歳に限ると15.1%と突出して低い。子宮頸がんの罹患は20歳代で上昇するため、この年齢層での検診受診率の向上は重要な課題となっている。
がん検診のクーポン券の利用率をみると、乳がんでは全国平均率が26.4%だが、子宮頸がんは8.7%にとどまり、20~25歳でもっとも低い。
検討会では「クーポン券を配布された女性が、がん検診の必要性について十分に理解していないのではないか」「大学生をターゲットとした受診勧奨や、10代のうちからの教育や啓発も必要」といった意見も出された。
「がん検診を、初回のみならず、その後も継続して定期的に受診してもらうよう受診行動の変容を促すことが必要。クーポン券の利用率を高めることは、将来的ながん検診受診率の向上にもつながる」と結論された。
「がん検診受診率向上に効果の大きい個別の受診勧奨・再勧奨を実施するとともに、子宮頸がん検診・乳がん検診の初年度対象者にクーポン券を配布する。また、精密検査未受診者に対する受診再勧奨にも取り組む」という、がん検診の総合支援事業の方針が打ち出された。
クーポン券の利用率を高めてがん検診受診率を向上
子宮頸がん検診受診率
とくに20~25歳の子宮頸がん検診受診率が低い 子宮頸がん検診・乳がん検診のクーポン券利用状況
子宮頸がん検診でクーポン券の利用率は低い
とくに20~25歳の子宮頸がん検診受診率が低い 子宮頸がん検診・乳がん検診のクーポン券利用状況
子宮頸がん検診でクーポン券の利用率は低い
出典:第33回がん検診のあり方に関する検討会(厚生労働省 2021年)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要