ニュース

【新型コロナ】不安やうつを予防するのに「健康的な食事」が効果 ストレスになるニュースを遮断するのも有効

 新型コロナのパンデミックにより、多くの人は行動が制限され、世界的に不安症やうつ病が増えている。

 健康的な食事スタイルが、不安症やうつ病の予防に効果的という研究を、欧州神経精神薬理学会(ECNP)が発表した。

 健康的でバランスの良い食事は、友人などとの交流や、規則正しい生活、お気に入りの趣味を楽しむことよりも、さらに効果的だという。

 次に効果があるのは、ストレスをもたらす暗いニュースや情報を遮断することだということも分かった。

 「これらのシンプルな行動はすぐに取り組めることです。不安やうつ病を予防するのは可能であり、予防は治療よりも勝っています」と、研究者は指摘している。

「健康的でバランスの良い食事」がもっとも効果が高い

 研究は、スペインのバルセロナ大学やカタルーニャ政府などの支援を得てバイオメディカルなどの研究をしている研究機関であるIDIBAPSによるもの。詳細は、10月にウィーンとオンラインで開催された第35回欧州神経精神薬理学会年次会議で発表された。

 「新型コロナのパンデミックにより、行動の多くが制限され、世界的に不安症やうつ病が増えていると報告されています」と、IDIBAPSやスウェーデンのカロリンスカ研究所で精神医学を研究しているホアキン ラドゥア氏は言う。

 「各国の保健機関は、それらに対処するためにいくつかの行動を推奨していますが、どのような行動が不安や抑うつ症状を軽減するかを追跡して調べた研究はこれまでありませんでした」としている。

 研究の結果、もっとも効果が高かったのは、▼健康的でバランスの良い食事だった。さらに、▼ストレスをもたらすニュースや情報を遮断すること、▼屋外に出たり、窓の外を眺めること、▼自分のリラックスできることをすること、▼ウォーキングなどの運動をすることが続いた。

 一方で、▼親戚や親しい友人と話すことや、▼お気に入りの趣味を楽しむことなど、一般的に有益であると考えられていたいくつかの行動は、この研究ではメンタルヘルスの結果に与える影響は比較的小さいことが示された。

不安症やうつ病を予防するのに効果が高かったのは「健康的でバランスの良い食事」だった

出典:欧州神経精神薬理学会、2022年

ストレスを解消するために自分に合った方法をみつけることが大切

 研究では、「健康的でバランスの良い食事をすること」、「更新される新型コロナに関するニュースをあまり頻繁に見ないこと」、「屋外に出ること」、「運動をして体を動かすこと」、「アルコールを飲み過ぎないこと」などが、メンタルヘルスを良好にするのに効果的である可能性が示された。

 「結果はちょっと意外なものでした。調査の前は、ストレスの多い時期に不安や抑うつを避けるために、もっとも大きな役割を果たすのは、個人的・社会的な交流だと予想していたのです」と、ラドゥア氏は言う。

 「ただし、ストレスを解消するためには、ご自分に合った方法をみつけて、それを続けていくことも重要と考えられます。親しい友達に会うことや、趣味を楽しめているのなら、どうかそれを続けていただきたい」。

 「それらに加えて、ストレスを感じているときは、食事を見直してより健康的で栄養バランスのとれたものに変えたり、多くのストレスをもたらすニュースをあまり見ないようにし、屋外でより多くの時間を過ごし、リラックスできる活動を行い、運動をすることも忘れないでください」と付け加えている。

 「今回の研究は、深刻なストレスにさらされているときに、どのような行動が私たちのメンタルヘルスを守るために効果的かについて、いくつかの重要な洞察を提供しています。多くの人は気持ちが明るくなると、社会や環境により積極的に関われるようになります」と、英オックスフォード大学精神科の精神薬理学・感情研究所(PERL)所長であるキャサリン ハーマー教授は述べている。

 「ただし、これらの因果関係について、逆の可能性があるのかも含めて、今後の研究で確かめる必要があります。また、今回の研究は新型コロナを集中的に対象としており、他のストレスの多い状況で、どのような行動がメンタルヘルスケアを改善するのに効果的かも調べる必要があります」としている。

スペインの成人942人を1年間追跡して2週間ごとに調査

 研究グループは今回の研究で、新型コロナのパンデミックのあいだ、どのような健康活動が不安やうつを軽減するかを比べるため、スペイン在住の成人942人を対象に調査した。参加者を1年間追跡して、2週間ごとに10種類の行動の頻度などを調査し、あわせて不安と抑うつのレベルも測定した。

 調査期間の終わりに、特定の時点でのどのような行動が、その後の4週間の不安症や抑うつの症状の減少に関連しているかを分析した。

 「今回の調査は、期間を1時点に限定したものではなく、1年間追跡することで、時間の経過とともに行動やメンタルヘルスがどのように変化するかを観察できた点が画期的です」と、ラドゥア氏は指摘する。

 「たとえば、過去に行われたパイロット研究では、楽しめる趣味を続けられた人は、不安やうつが少ないことが示されています。しかし、その人が趣味をいつまでも続けて、リラックスした気分や幸せを持続できるかは分かりません」。

 「また逆に、多くの人はリラックスしたり幸せを感じているときに、趣味を追求できる余裕が生まれるものです。趣味がうつ病の予防に役立っているのではなく、うつ病になった人が趣味をあきらめてしまっている可能性もあります」。

 「行動とうつ病などの症状の関係を解明するのは困難です。また、過去の症状が将来の症状に及ぼす影響を変更する可能性もあります。今回の研究がユニークな点は、長期にわたる追跡調査を通じて収集されたエビデンスにもとづいたものだということです」としている。

新型コロナの流行により不安症とうつ病が増加

 新型コロナのパンデミック中に報告された感染数の増加と、それに対する政府の厳格な感染対策により、不安症とうつ病の症状が増加した可能性があるという研究を、米国医師会が発表した。

 研究は、スイスのベルン大学が、33万1,628人の参加者を対象とした43件の研究を解析したもの。

 パンデミックの最初の1年間のメンタルヘルスの障害の軌跡を調べたところ、一般集団でのうつ病と不安症の症状は、パンデミックの最初の2か月ですでに悪化がみられた。

 ただし、その後のメンタルヘルスへの影響は集団によって大きく異なるという。そうした症状の増加は、政府がより厳格な感染対策を実施し、また感染者の数のさらなる増加が報告されるにつれ変動した。

 メンタルヘルスケアの専門家はこれまでも、新型コロナのパンデミックにより、メンタルヘルスの不調が増加する可能性について警告していた。「感染の拡大とメンタルヘルスへの害を最小限に抑えた、バランスのとれた効果的な公衆衛生での取り組みが必要です」と指摘している。

第35回欧州神経精神薬理学会年次会議
Eating well and avoiding the news gave the best mental health outcomes during COVID (欧州神経精神薬理学会 2022年10月14日)

Emotional and psychological support for people with diabetes (英国糖尿病学会 2018年7月)

Increased anxiety and depression symptoms appeared in early days of the pandemic (米国医師会 2022年10月17日)
The Impact of the COVID-19 Pandemic and Associated Control Measures on the Mental Health of the General Population (Annals of Internal Medicine 2022年10月18日)

Coping with Stress (米国疾病予防管理センター 2022年9月23日)
COVID-19 and your mental health (メイヨークリニック 2021年11月23日)
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2022年11月22日
特定健診を受けた日に健康相談が受けられるサービスを開始 健診結果に関わらず保健師などが対応 京都府
2022年11月22日
高齢者の「精神的フレイル」を簡易に検査 うつや不安症を尿検査で判定できる可能性 早期介入で改善
2022年11月21日
「果物」を食べるとうつ病リスクが3分の1に減少 フラボノイドなどの果物の天然成分がうつに予防的に働く?
2022年11月21日
健康管理アプリは医療者や専門職による支援・サポートが加わると効果的 アプリのみだと効果なし
2022年11月15日
【新コーナー】働く人に伝えたい!薬との付き合い方/日本産業衛生学会 全国協議会レポートなど 「トピックス・レポート」より
2022年11月14日
保健指導を受けた人は自分の食事は健康的になったと過大評価しがち 実際には大きな変化はなし
2022年11月14日
【新型コロナ】子供の運動不足も深刻 動作時のバランス能力が低下 不規則な生活やスクリーンタイムは増加
2022年11月14日
「慢性腎臓病(CKD)」は新たな国民病 「GFR値59以下の人は医師に相談を」と呼びかけ 腎臓病協会など
2022年11月14日
日本初の全世代に対応した「遠隔メンタルヘルスケア」 若年者のメンタルヘルスに焦点 精神・神経医療研究センターなど
2022年11月14日
外食産業を活用して肥満・メタボの課題を解決 京都大学とゼンショーが「食と健康科学研究講座」を開設
DASHプログラム

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶