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【新型コロナ】妊娠中の女性のワクチン接種は「メリットがリスクを上回る」 妊婦の86%が「新型コロナは心配」
2021年05月25日

妊婦や妊娠を希望する女性の新型コロナワクチンの接種について、日本産科婦人科学会などは、「接種のメリットがリスクを上回る」とする提言を公表した。
厚生労働省は現在、妊婦には接種の努力義務を課していないが、海外での安全性に関する最新の知見をふまえて見解をまとめた。
「妊婦に対して短期的安全性を⽰した情報が出つつありますが、中・⻑期的な副反応や胎児および出生児への安全性に関しては今後の情報収集が必要です」としたうえで、「流⾏拡⼤の現状をふまえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない」と、積極的な接種を呼びかけている。
「まずは産婦人科の主治医と⼗分にご相談ください」と注意を促している。
一方、妊娠中や出産後の女性の86%が「新型コロナは心配」と考え、3~5割に不安やうつ症状、孤独感などの心理的負担がみられるという調査結果も発表されている。
厚生労働省は現在、妊婦には接種の努力義務を課していないが、海外での安全性に関する最新の知見をふまえて見解をまとめた。
「妊婦に対して短期的安全性を⽰した情報が出つつありますが、中・⻑期的な副反応や胎児および出生児への安全性に関しては今後の情報収集が必要です」としたうえで、「流⾏拡⼤の現状をふまえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない」と、積極的な接種を呼びかけている。
「まずは産婦人科の主治医と⼗分にご相談ください」と注意を促している。
一方、妊娠中や出産後の女性の86%が「新型コロナは心配」と考え、3~5割に不安やうつ症状、孤独感などの心理的負担がみられるという調査結果も発表されている。
新型コロナワクチンの致命的な副反応は起きていない
日本でも2021年2⽉から新型コロナウイスル感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、医療従事者や65歳以上の高齢者への接種が進んでいる。
5月21日には新たに2種類のCOVID-19ワクチンが承認され、3種類のワクチンを使えるようになった。今後は希望するすべての国⺠への接種がはじめられる。
一方、COVID-19ワクチンは、およそ半年という極めて短い時間に開発されたため、まだ⻑期間にわたる有効性や安全性に関する臨床データは集積されていない。
ただし、⼤規模な接種がはじめられたイスラエルや英国では、新規感染者、重症者、死亡者のすべてが激減している。
日本での接種では、局所の疼痛・腫脹、頭痛、疲労、悪寒、筋⾁痛、関節痛、下痢、発熱などの症状が1~2日続くとする報告はあるが、致命的な副反応は報告されていない。
副反応のひとつであるアナフィラキシーを含むアレルギーの頻度は、⽶国でのファイザー製ワクチン治験時には0.0011%とされている。
mRNAが接種を受けた⽅の遺伝⼦に組み込まれるとか、接種を受けた人が有害な物質を産生するといった事実もない。
ただし、接種後に感染しやすくなることはないが、2回の接種を受けて1~2週間以上たたないと抗体は⼗分に誘導されず、また変異したウイルスには効果が⼗分でない可能性もあるので、引き続き3密回避やマスク着⽤は必要となる。
「妊婦さんは積極的に接種を受けるべき」「産婦人科の主治医と相談を」
妊婦や妊娠を希望する女性の新型コロナワクチンの接種について、日本産婦人科感染症学会と日本産科婦人科学会は、「現時点では、妊婦さんに対する接種について⼗分な知⾒がなく、各国で⾒解が分かれていますが、世界的な流⾏拡⼤と妊婦の⼀部で重症化することから、積極的に接種をすべきという考え⽅が⼤勢を占めています」と指摘している。
⽶国の諮問委員会は、妊婦を除外すべきではないとしていたが、CDCは4⽉に、⼗分な情報を得た個人の選択ではあるものの、「妊婦への接種を推奨する」としている。
英国では当初、妊婦中の接種を積極的には推奨していなかったが、接種のリスクよりも感染のリスクが⼤きいことから、希望者には接種をためらうべきでないとしている。
さらに、COVID-19ワクチンの生殖に関する研究はまだ完了していないものの、現時点で胎児や胎盤に毒性があるとか、ワクチン接種を受けた人が不妊になるといった報告はないとしている。
これらを考慮し、両学会は以下の提⾔をしている。「患者さん1人ひとりの背景が違いますので、まずは産婦人科の主治医と⼗分にご相談ください」と注意を促している。
1. COVID-19ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出生児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。
2. 流⾏拡⼤の現状をふまえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。とくに人⼝当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。
接種する場合には、産婦人科医は被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確⽴していないことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後30分は院内で経過観察する。
現時点でmRNAワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告はないが、器官形成期(妊娠12週まで)は、偶発的な胎児異常の発生との識別に関する混乱をまねくおそれがあるため、ワクチン接種を避ける。
妊婦には⺟児管理のできる産婦人科施設などでワクチンを接種することが望ましく、なるべく接種前後に超⾳波やドップラー検査などで胎児⼼拍を確認する。
直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所などで接種する場合、接種前後1週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また、接種後に腹痛や出⾎、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指⽰する。 3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。 4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。 5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする(生ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない)。
接種する場合には、産婦人科医は被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確⽴していないことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後30分は院内で経過観察する。
現時点でmRNAワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告はないが、器官形成期(妊娠12週まで)は、偶発的な胎児異常の発生との識別に関する混乱をまねくおそれがあるため、ワクチン接種を避ける。
妊婦には⺟児管理のできる産婦人科施設などでワクチンを接種することが望ましく、なるべく接種前後に超⾳波やドップラー検査などで胎児⼼拍を確認する。
直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所などで接種する場合、接種前後1週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また、接種後に腹痛や出⾎、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指⽰する。 3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。 4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。 5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする(生ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない)。
妊娠中や出産後の女性の3~5割に不安やうつ、孤独感
女性の心理的負担は大きい
女性の心理的負担は大きい

Protecting the Next Generation: As COVID-19 vaccination rises, focus sharpens on pregnancy, children(ハーバード大学医学大学院 2021年4月30日)
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