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【新型コロナ】子供の「ゲーム依存症」が増えている 不登校・情緒や行動の問題・ネット依存などの障害が

 新型コロナの大流行は、子供の心理状態にも影響し、ゲーム依存症に悪影響をもたらした可能性がある。

 ゲーム依存の傾向のある子供は、ゲームに費やす時間と金額が多いだけでなく、不登校、情緒や行動の問題、インターネット依存などのさまざまな問題点を抱えていることが、長崎大学の調査で明らかになった。

 ゲーム依存傾向のある子供は、とくに新型コロナに対する不安を強く感じる傾向があり、新型コロナの流行後にゲームのプレイ時間やゲームに費やす金額が増えていることも分かった。

 「いまだ終わりのみえないコロナ禍で、ゲーム依存症の子供たちに対する特別なサポートが必要とされています」と、研究者は述べている。

新型コロナの拡大は子供のゲーム依存症に対しても悪影響

 「ゲーム依存症」は、スマートフォンやモバイルPCのゲームをやり過ぎてしまい、日常生活、勉強や仕事、人間関係、健康などに悪影響があらわれている状態。ゲーム依存症の子供が増加していることは、世界的な問題になっている。

 ゲームの長時間の利用や就寝直前の利用は、睡眠時間の減少や体調不良を引き起こすだけでなく、勉強や仕事の効率を低下させたり、人間関係にも支障をもたらすと考えられる。

 2022年1月に世界保健機関(WHO)が発行した国際疾病分類の最新版である「ICD-11」でも、ゲーム依存症が正式な精神疾患として採用され、メディアなどでも大きな注目を集めた。

 しかし、日本でのゲーム依存症に関する研究はほとんどなく、有病率や社会機能障害などの実情はよく分かっていない。

 また、現在、新型コロナの世界的流行は収束する気配がなく、多くの人は日常生活でさまざまな制限を受けている。このコロナ禍でのストレスが、アルコール依存症やギャンブル依存症などのさまざまな依存症を悪化させていることが分かってきた。

 新型コロナの拡大は、とくに子供のゲーム依存症に対しても、悪影響をもたらしている可能性がある。

関連情報

児童・生徒の7%にゲーム依存症の可能性

児童・生徒の7%がゲーム依存症の可能性
長崎県の小学生・中学生・高校生を調査

ゲーム依存症の子供の抱える問題点

出典:長崎大学、2022年
 そこで長崎大学の研究グループは、新型コロナの拡大を受けて、全国で一斉に臨時休校なった時期の後で、小学生・中学生・高校生のゲーム依存症の実地調査を行った。

 その結果、長崎県内に在籍している小学生・中学生・高校生4,048人のうち、7%の児童・生徒(小学生:7.3%、中学生:7.5%、高校生:6.1%)がゲーム依存症に該当する可能性が示された。

 また、これらのゲーム依存傾向のある子供は、単にゲームに費やす時間と金額が多いだけでなく、不登校、情緒や行動の問題、インターネット依存など、さまざまな問題を抱えていることが明らかになった。

 さらに、ゲーム依存傾向のある子供は、新型コロナに対する不安を強く感じる傾向があり、新型コロナの流行後にゲームのプレイ時間やゲームに費やす金額が増えていることが分かった。

ゲーム依存症の子供たちに対する効果的なサポートが必要

 「今回の研究成果は、ゲーム依存症の子供たちが、さまざまな心理的・社会的な問題点を抱えており、新型コロナに対する不安を強く感じていることを示唆しています」と、研究グループでは述べている。

 「これらの結果は、いまだ終わりのみえないコロナ禍で、ゲーム依存症の子供たちに対する特別なサポートの必要性を強調しています」。

 「我々の長崎大学ゲーム・ギャンブル等依存症研究会は、ゲーム依存症の子供たちに対する効果的なサポート方法を開発・提供していくため、今後も研究を続けていきたいと考えています」としている。

 研究は、長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部の山本直毅助手、長崎大学生命医科学域精神神経科学の森本芳郎講師、同作業療法学の今村明教授らの長崎大学ゲーム・ギャンブル等依存症研究会の研究チームが、長崎県依存症予防教育啓発事業の委託を受けて行ったもの。研究成果は、精神医学誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports」に掲載された。

長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部
長崎大学生命医科学域精神神経科学教室
Game‐related behaviors among children and adolescents after school closure during the COVID‐19 pandemic: A cross‐sectional study (Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports 2022年8月29日)
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