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【新型コロナ】感染拡大でストレスが増加 ストレス解消の効果的な方法は? 何が原因かに気付くことが大切

 新型コロナの拡大は、多くの人にとってストレスになっている。感染防止のために行動が制限され、経済の先行きが予測できなくなり、仕事や収入を減らし、将来に不安を感じている人も多い。

 ストレスが強いと、心臓病や脳卒中のリスクも上昇することが分かってきた。肥満のある人では、自分がストレスを感じていることに気付いておらず、高カロリーの食品の食べ過ぎにつながっている可能性がある。

 どうすればストレスや不安を軽減できるのか。ストレスへの対処法は、良い睡眠・健康的な食事・アルコールを飲み過ぎないことだという。

 自分をありのままにみつめ、何がストレスの原因かに気付く「マインドフルネス」という方法も効果的であることが報告されている。

ストレスは心血管疾患のリスクも高める ストレスに対策する必要が

 ストレスとは、職場や家庭でうまくいかないことがあったり、経済的な困窮におちいったり、人生で困難な出来事や時期を経験するなどして、神経質になり、不安やイライラを感じている状態のこと。

 過剰なストレスは、心臓病や脳卒中のリスクも上昇させることが、21ヵ国の35~70歳の男女11万8,706人を対象とした調査で明らかになった。

 「ストレスを軽減することが、心血管疾患のリスクを減らすために役立つとみられます。ストレスを、修正可能な危険因子として考える必要があります」と、ヨーテボリ大学医学研究所のアニカ ローゼングレン教授は言う。

 研究グループは参加者に、過去1年間に感じられたストレスについて質問した。ストレスを感じる出来事として、離婚、失業、親しい人との死別、家族の病気などがあった。ストレスを、0(ストレスなし)から3(重度のストレス)までのスケールで評価した。

 参加者のうち、重度のストレスのある人は7%、中程度の人は18%、ストレスの少ない人は29%、ストレスがない人は44%だった。重度のストレスのある人は、喫煙習慣があったり、内臓脂肪がたまっているなど、健康リスクが多くみられ、所得の多い人でも多かった。

 解析した結果、ストレスの高い人は、なんらかの心血管イベントを発症するリスクが22%高く、心臓発作のリスクは24%高く、脳卒中のリスクは30%高いことが分かった。

 「重度のストレスを抱えている人で、心血管疾患のリスクが高まる原因について、正確には分かっていないものの、ストレスによって、アテローム性動脈硬化症や血液凝固など、体のさまざまなプロセスが影響を受けている可能性があります」と、ローゼングレン教授は述べている。

ストレスへの対処法は「睡眠」「健康的な食事」「アルコールを飲み過ぎない」

 コロナ禍による、外出の自粛や社会的な交流の制限は、多くの人にとってストレスになっている。新型コロナの拡大の影響で、経済の先行きが予測できない事態になり、多くの人が仕事や収入を減らし、将来に不安を感じている。

 ストレスを解消するのに効果的なのは、▼良好な睡眠、▼健康的な食事スタイル、▼アルコールを飲み過ぎないことのようだ。

 東フィンランド大学の研究で、健康的な食事と、お酒を飲む量をほどほどにすることで、睡眠が良好になり、ストレスからの生理学的回復が促されることが示された。

 研究グループは、フィンランドの3つの都市で、肥満や過体重でストレスに苦しんでいる252人を対象に調査した。睡眠時の心拍変動により、自律神経系の副交感神経と交感神経の両方の活性や、ストレスからの回復のバランスを測定した。食事などの生活スタイルについても調査した。

 その結果、睡眠時の副交感神経の活動は、健康的な食事や、アルコールを飲み過ぎないことと関連していることが分かった。

 ストレスのバランスの良い人は、バランスの悪い人に比べ、食事の質が全体的に良く、食物繊維を十分に摂っており、食べ過ぎが少なく、アルコールの摂取量が少ない傾向がみられた。

 今回の調査は横断研究なので、ストレスと睡眠などとのあいだの因果関係についてはよく分かっていない。しかし、「睡眠を良好にすることと、健康的な食事、アルコールを飲み過ぎないことは、それぞれ関連しているとみられます」と、研究者は述べている。

自分のストレスに気付くことが大切 保健指導で女性のストレスを軽減

 さらに、保健指導を行い生活習慣を改善することで、肥満の女性のストレスを軽減できることが、米オハイオ州立大学の研究で明らかになった。

 ▼健康的な食事、▼運動・身体活動の促進、▼ストレス管理などを盛り込んだ16週間のプログラムに取り組むことで、女性の知覚ストレスが減り、高カロリーで高脂肪の食事やファストフードの利用が減ることが明らかになった。

 研究には18~39歳の肥満のある母親338人が参加した。参加者は、出産後から4.5kg以上の体重増加を体験していた。

 女性のストレスを引き起こす要因としては、▼経済的な困難、▼治安の良くない地域での生活、▼移動時間が長い、▼不安定な恋愛関係、▼小さな子供でにぎわう家庭などがあったという。

 研究グループは、参加者にビデオ教材を見てもらい、家族との交流を示し、何がストレッサー(ストレスの原因になるもの)になっているかについて意識を高めてもらった。

 「多くの参加者は、"自分がとてもストレスを感じていることにはじめて気付きました"と話しました。多くの母親は、ストレスに満ちた生活をおくっているのですが、そのことに気付けないでいます」と、同大学看護学校のメイウェイ チャン氏は述べている。

 「ストレスの多いことが、高カロリーの不健康な食品やファストフードの食べ過ぎにつながります。こうした女性の多くは、焦りを感じたり、頭や首の痛みや睡眠障害などがあることに気付いていますが、それらがストレスの兆候であるとは知りません」。

 「ストレスの多い人は、より健康的な食事を望んでいないということはありません。ストレスを管理する方法を知らないので、ストレスがたまっていても、食事に気を配る余裕がないのです」と、チャン氏は指摘している。

食物繊維でストレスによる心身のダメージを軽減

 食事で食物繊維を十分に摂ることで、ストレスによる腸や脳へのダメージを軽減できる可能性があるという研究も、アイルランド国立大学が発表している。

 腸内細菌とストレスに関連する疾患(不安感、うつ病、過敏性腸症候群など)との関係について関心が高まっており、食物繊維を摂ることで腸内細菌を改善することが、ストレスのコントロールにつながると考えられている。

 善玉の腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸は、脳や腸の細胞の栄養となり、炎症を抑える働きもする。穀類や野菜、豆類、大豆といった食物繊維を豊富に含む食品は、短鎖脂肪酸の産生を活性化させ、マウスを使った実験では、ストレスや不安行動のレベルを軽減することが確かめられている。

 腸内細菌をターゲットとした、ストレスに関連する疾患を軽減する食事療法の開発が目指されている。

「マインドフルネス」でストレスや不安に対策

コロナ禍でストレスが増加

 コロナ禍によるストレスを解消するのに効果的と期待されているのが、「マインドフルネス」だ。マインドフルネスを応用した瞑想は、ストレス解消、認知症やうつ病の症状改善にも効果的と考えられている。

 マインドフルネスは、日本の禅などの考え方や瞑想をベースにしたメンタルトレーニングとして米国で発達した。最近は宗教色を一切排除し、科学的な根拠を示した研究が増えている。

 マインドフルネスを日本語に訳すと「気付くこと」「意識すること」という意味になる。瞑想や呼吸法なども取り入れたトレーニングは、集中力を高められるとして、米国ではマインドフルネスをベースにした社員研修プログラムを提供する企業が増えている。

マインドフルネスでネガティブな感情をコントロール

 マインドフルネスを簡潔にあらわすと「今、ここで起きていることを、ありのまま感じて、受け止めること」。自分の体や心の状態を意識することで、ストレスを受ける場面に遭っても、否定的な感情にとらわれることなく、平静を保てるようになると考えられている。

 マインドフルネスをもとにしたトレーニングにより、コロナ禍によるストレスや怒りなどのネガティブな感情をコントロールしやすくなるという研究を、ノルウェー科学技術大学が発表した。

 「コロナ禍によるストレスは、家庭内のストレスや不和、子供に勉強を教えなければならない保護者などにも影響をもたらしています。逃げ場がない状況が、さらに苦痛を強めています」と、同大学のメレーテ ベルク ネセット氏は言う。

 「ストレスによりイライラしたり、暴行的になっている人々に、何が自分をいらだたせているのかを理解し、どのような感情や気持ちにとくに注意を払う必要があるかをみつけてもらうことで、ネガティブな感情をコントロールできるようになる可能性があります」としている。

自分自身をありのままに理解することが大切

 研究グループは、125人の男性を対象に、マインドフルネスをベースとしたストレス管理セラピーを受ける群と、従来の認知行動療法を受ける群に分け、治療効果を比較した。

 その結果、いずれの群も良好な治療効果がみられた。治療前には60%の男性がパートナーに対して暴力的な行為をしていたが、治療後はほとんど誰もそうしたことを行わなくなった。また、治療前には87%の男性がパートナーに対して精神的暴行を行っていたが、治療後にはその割合は25%まで減少した。

 「大切なことは、ストレスを受けている人が、自分自身をありのままに理解するよう努めることです」と、ネセット氏は指摘している。

Cardiovascular disease risk boosted by stress (ヨーテボリ大学医学研究所 2021年12月16日)
Psychosocial Risk Factors and Cardiovascular Disease and Death in a Population-Based Cohort From 21 Low-, Middle-, and High-Income Countries (JAMA Network Open 2021年12月15日)
Good sleep-time recovery is associated with a healthier diet and lower alcohol consumption (東フィンランド大学 2021年9月3日)
Sleep-time physiological recovery is associated with eating habits in distressed working-age Finns with overweight: secondary analysis of a randomised controlled trial (Journal of Occupational Medicine and Toxicology 2021年6月28日)
Stress reduction as a path to eating less fast food (オハイオ州立大学 2021年3月11日)
Perceived Stress Can Mediate the Associations between a Lifestyle Intervention and Fat and Fast Food Intakes (Nutrients 2020年11月24日)
Eat high-fiber foods to reduce effects of stress on gut and behavior (国際生理学会 2018年8月1日)
Short-chain fatty acids: microbial metabolites that alleviate stress-induced brain-gut axis alterations (Journal of Physiology 2018年7月31日)
Mindfulness training helps men manage anger(ノルウェー科学技術大学 2020年7月21日)
Cognitive behavioural group therapy versus mindfulness-based stress reduction group therapy for intimate partner violence: a randomized controlled trial (BMC Psychiatry 2020年4月19日)
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